反ファシスト直接行動


まあ、そんなわけで某書からレシピの一つとして「AntifascistAction」を訳してみます。ただ、マニュアルつーか行動のための本なんで、色々アレだ。まあ、具体的な方法を述べている箇所はちょっと見送りします。別に有用であればいいんですが、逆利用されるのもイヤです。爆弾とか火炎瓶とかいった物でしかないブツを解説した箇所なら別に良いんですが、行動となると色々ね。ま、概論しか述べてないから特にリスクはないんだろうけど。

あ、俺の英語力は中学どまりだから、基本的に資料価値はないよ!



ファシスト活動



 それはいつも同じようにして始まっていく――レイシストのビラやステッカーが地元の溜まり場に現れるか、人々の家に配布されるかする。有色の人々に対する脅迫行為と襲撃がニュースで報道される。地元の高校をぶらつくナチ・スキンヘッドの噂が流れる。クィアに対するバッシング事件が起こる。ヒップホップ小僧やパンクス、反レイシスト・スキンヘッドたちが街頭でナチと争いごとになったと報告する。胡散臭い奴らが反移民キャンペーンを推し進め始める。人種問題をめぐって地元の議論は紛糾し、クランとナチの連中が緊張をエスカレートさせるために集会を計画する。すぐさま、そいつは雪だるま式に膨れ上がっていく:White Powerグループ*1がコンサートを催し、レイシストが立候補し、ナチスキンどもがショーに押しかけ、喧嘩を始める。そして、連中は街頭と青少年に対して影響力を持つ左翼の政治センターに襲撃をかける。圧力が増加していく…反撃の時だ。


 リベラルや権威*2どもは君に言うだろう――ファシストなど無視していれば何処かに行ってしまうし、警察がうまく対処してくれるだろう、と。糞ったれだ!問題を無視したからって消え去るわけじゃないし、オマワリがファシストを頻繁に拘束したり、あるいは少なくとも別のやり方を検討しはじめる、てなことはない――それどころか、急進的な連中の相手をさせるために、オマワリは喜んでファシストどもを呼び寄せるだろう。けれども、もしも意見と拳の両方でファシストどもを暴き、抵抗するなら、連中の組織化の努力(浸透工作?)は致命的に弱まるだろうし、打ち負かすことすらできる。


 一部の人々はファシストなど取るに足らない二次的な集団であって、誰も真面目に受け取ったりはしないと考えている。もう一度、考えて直してくれ。ネオ・ファシスト運動は瀕死の状態から脱し、新たな活力を得て世界中で強力な復活を遂げている。ここ十年だけで、西ヨーロッパで連中は議席を増やし、幾つかの都市では街頭を奪い取ってきたし、東欧では民族浄化を激化させている。アメリカにおいては、組織化の資金を調達する目的で百万ドル規模のホワイトパワーミュージックとその商業化帝国を築き上げてきたし、世界規模で見れば、彼らは様々なテロ活動に関与している――付け加えれば、これらには地元でのローカルな活動――小規模な組織化や電撃的なプロパガンダ*3、肉体的な襲撃などを含む――はカウントされていない。


 社会に根を張った、極右とネオナチどもによる本物の運動が存在しているのだ。この運動は多様性に富み、敵対し競合し合う党派を含んでいる――合法派対ならず者たち、大衆組織対リーダーを欠いた細胞組織、白人至上主義者対民族主義者、スーツ野郎対スキンヘッドなど。普段は単にぶらついているだけで、時々、明らかに弱そうな目標に対して襲撃をしかけるような、組織化されていない構成員からなるものもあれば、他方で秘密細胞やフロント組織を使って彼らの目的を達成しようと企む、高度に組織化され本気で社会を変えようとしているものもある。公然と人種差別的な信条を謳い、民族紛争を呼びかける連中もいれば、他方で「文化的遺産」の背後に彼らの動機を覆い隠して、「同胞」への愛と誇りを行動に移すよう主張する連中もいる。彼らの支持基盤には政治家や警官、学者、軍関係者、もしかすると君の隣人すら含まれている。多くの支援者たちは非公然のままで、匿名であることを好むとはいえ情報や資金、その他の援助――銃火器を含む――を提供している。


 ファシズムには、今も昔も議論の余地のないレイシストによるテロルと殺人の歴史がある。ファシストを深刻な脅威として扱うことはパラノイアではない――それは常識的な自衛なのである。小さなファシストグループであっても、彼らの政治的見解を公的な対話の中に押し込み、公衆の意見と議論を右寄りにするのに十分な声となりうる。一度、ファシストが地域を掌握し始めれば、連中は敵対者――アナキストも含まれる――を排除するために暴力のレベルを上昇させるだろう。


 肝要なのは、我々の解放的な代替案を向かい合わせることによって、ファシズムに挑戦することである。我々のゴミ屑以下の社会に対して正当にもウンザリしている人々にファシズムは訴えかける。彼らは我々の社会における諸問題――資本主義、家父長制、階級制度――の複雑な根を引き受けるよりも、ファシストの提供する単純でスケープゴート式の解決策を鵜呑みにしがちである。その意味では、ファシストアナキストは同じ支持基盤を巡って争っているともいえる。両者ともに、既存の社会秩序を土台から掘り崩し、如何にして新しいコミュニティーを作り上げるかについての考え方を提案しようと奮闘している。このことは以下のことを示唆している。即ち、アナキストの組織化を成功させることでのみ、ファシズムは完璧に打ち負かすことができるのである。相互扶助やヒエラルヒーのない信頼関係、文化間の団結、そして草の根の直接行動といったもののメリットを実証することで、我々は人々に揺さぶりをかける必要があるのだ。


 しかし、言葉だけでは足りない場合――その時には行動を起こさなければならない。さもなければ、永遠に沈黙した存在になってしまうだろう。


ファシスト活動は危険な仕事だ。通常の警察による抑圧に対処するだけでなく、ファシストの襲撃――路上や君の家、それにコミュニティ―においても――をも予期しなければならない


 いかにして君と友人たちはこいつをこなすか?自衛するしかない。背後に気を配れ。自己防衛の訓練をしろ。緊急事態における計画を練り、同志たちを招集できるような危機警報ネットワークを構築しろ。保釈と治療用の資金を用意しておけ。こうしたことは真剣に受け止めるべきだ。ことは生命にかかわる。

 基礎的な保安措置は必須だ。この手の仕事をする時には、実名は絶対使ってはならない。電話番号を公表するな。私書箱を使え。君の個人情報が漏洩しないよう注意しろ。オンライン上では素性を明かすな。偽名、暗号、使い捨てのアカウントを使え。君のグループに参加したがっている人間たちの背後関係を洗え。公的な集会や会合に行くときは何時でも、安全を確保できるよう前もって準備しろ。ファシストが現れたり、彼らが襲撃してきた時にどうするかを知っておけ。

 反ファシスト活動家であるということは時に準軍事的活動に従事することを意味する。君がもしもこうしたやり方で考える準備をしていないなら、別のプロジェクトを選んだ方がいいだろう。時には、否応なしにファシストと事を構えなければならない時もあるかもしれない。このことは暴力が常に解答であるとか、また彼らに対するギャング的なメンタリティーを我々が採用すべきだとかいったことを意味するわけではない、けれども、現実的にはこの種の活動にあたって軍事訓練は必要となる。

で、まあヤポネシア帝国臣民の小ファシストから見れば、過剰な警戒心と実力行使に思われるかもしれませんので、付け加えさせてもらうと、海の向こうの極右分子どもの野合は極めて広範なもので、しかも、不良のサブカルチャーを横断しているので非常に層が厚いわけですな。かてて加えて超がつくくらい暴力的。すぐ銃とか抜く。ナイフは常備。ぷすぷす。みたいな。

とはいえ、ヤポネシアだって暴力団と右翼の連携というか重複みたいのはザラだし、大して騒ぎにならないのはむしろ右翼大好きな皆様のお力あってのことですし、敵対関係にある人間から見ると単純に不満や反対を全て抑圧しているだけなので、馬鹿の一つ覚えみたいに日本人は暴力を好まないとか寝言をほざかれても正直、困惑してしまいます。学校に右翼が押しかけるからとかエクスキューズして自分の良心と規範意識*4に対して責任を負わないのは、単に皆さま方がよく訓練されたファシストであるというだけのことです。そして、恐らくスキンヘッド族に該当するような連中と言うと日本では暴走族とかヤンキー小僧とかその辺りの愚連隊でしょうが、別に政治的意識があろうがなかろうが、彼らの言説と行動の基礎における極右的なものへの親和性は割合はっきり見えていると思います*5。もっとも、ヤポネシアの場合はイニシエーションつーか世代的な交代がきちんとしているので、マジョリティ―にとってみれば大した問題とも思えないでしょうが、襲撃される方からしたら別に若年民俗集団だろうが政治的党派だろうがあまり変わりませんし、要するに直接的な暴力の要件さえクリアすれば社会復帰できるという事実は言いかえれば一般社会それ自体が認識の上では暴走族連中のものの考え方と大差ないというそれだけの話です。現実には外国人子弟が襲撃される事件は右翼によるものばかりではなく、地域における不良分子によってもおこされているわけですし*6

*1:white power groups organize concerts, racists run for office, boneheads crash shows
White powerというのは国粋主義的かつ人種差別主義的な音楽ジャンルを指すこともあるらしいし、この文脈だとサブカルチャーの一つとしてのWhite powerだろうから、こうしておきます。まあ、間違いかもしれないけどな。スキンヘッド族も色々と分岐があるらしい。

*2:Liberals and authorities
authoritiesは官憲?当局?

*3: propaganda blitzes

*4:「本当は…」とかどうでもいいよ!規範として正反対のものを選んでるんだから、遠慮するなヨ!!

*5:別に連中を総じて右翼やらファシストして扱えとか、本体に対する攻撃として連中を標的にしろとかそういう話ではありません。単に横断的かつ無意識的な野合というのはヤポネシアであっても、あるいは本邦の方がより厄介な形で、実現されているというだけです。

*6:うせ、外国人の不良分子がいけないとか言い始めるんだろうけど。