大変残念ながら、君らはまったくもって最早子どもではない。


そういや、チャイルドアビューズを何故か「みだらな行い」とか「性的いたずら」とか表現する不思議言語感覚があって、他方でそうした呼称自体が問題の本質と奥深いところでつながっているということを告発する言説がこれを非難する例の構図あるじゃないですか。で、まあ、公式に使われる表現の奇妙な平静さ(これを彼らは価値中立的とみなす)には規範意識が子どもをどう認知しているかが如実に現れているのはそのとおりなので、特に批判とか論評とかそういう類の話がしたいわけではない。わけではないけれども、時々、「性的いたずら」つー表現のほうが余程暴力的かつ残虐な表象に思えて、そうするとむしろ真実が暴露されるのはこの旧態依然とした表現を通してなのではないかという疑念がよぎる。


とか、ふと思いつきました。ロリペドエロ漫画を読みながら。


いや、だって「いたずら」って言い回しの方が悪質な感じがするんだもの。物凄く、他人をまともな人間として扱ってない感がアリアリとしているというか。ナチュラルに非人間。あまりに自然だから感情的コンフリクトは引き起こされませんが、それが狙いだと思います。つか、そのての出来事を不幸だとは思っても暴力だと思ってない感じが漂うんだよね。「みだらな行い」とか「性的いたずら」とかって表現は、どちらかというと極めて道徳的な言い回しに思える。それも、断罪的というよりは抑圧的な方の。まあ、ほら精々が「頭悪いw」とか「キモw」みたいな感覚であって、被害者のほうは実際のところどうでもいいみたいな。なんていうかね、レイプの相対化って割とよく見られると思うんですけど、そのほかの暴力――それも大抵が圧倒的で破滅的であるがゆえに絶対化しやすいような――を持ってきて、比べるという例のアレ。まあ、優等生的に言えば人間性に対する暴力は相互に比較不能ですという辺りなんでしょうが、それ以前に「関係ねーだろ、バーカ」で済ませればいいと思います。で、当該の表現が相対化それ自体を目指しているというつもりはないのですが、社会的正常性の感覚が侵犯されているみなされるような暴力性についていえば、明らかに注意深く取り除かれているようにみえます。えーとね、精々が傷害沙汰の一環くらいな認識で語られるレイプと似てる感じ?もしくは、相手が「子ども」であることの異常性にかまけて、加えられた暴力の社会的意味についてはあまり問う必要を感じていないというか。だって、みんな制裁にしか興味ないんだもの。


レイプが伝統的な道徳観念のなかで制裁されるに足る理由であるのは、大抵がそれが名誉の毀損にあたるからであって、人間に対する固有の暴力であるためではないでしょう。恥と密接に関係するところの名誉の観念が、侵犯されたことを以て、報復を合理化するわけですが、でも、この報復は私闘です。私闘は近代の法治観念からは遠いものです。

そして、またこうした論理と情動の一致が可能になるにはおそらく非常に親和性の高い集団性が空間的に可視化されている必要があると思います。同胞集団みたいなのとか、擬似家族的集団みたいなのとかがあると話ははやいです。でも、今のこの社会にはそーゆーのは無さげですし、あってもあんまり力をもてません。多分、機能しているのは正常性への侵犯ですが、これは名誉や恥ではなく言わずと知れた安全と平和の問題です。ドメスティックな論理からすると安全と平和はひとつのものです。それは治安と呼ばれます。けれども、治安意識の現われはその前提として既に平定された状態をひとつの理想的状態ではなく、既成事実とみなしたがります。そういうわけで、犯罪は危機であるか、さもなければ放逐したり、包囲したりすることで外部化する必要があります。レイプは家族制下の人的集団にとって由々しき問題となりますが、それは治安の論理が保障するはずの(他人たちではなく)自分たちの安全が蓋然性という形であれ、機能不全に陥っているとみなされるからです。

でも、一番手っ取り早い解決策はみなさん先刻承知です。想像力はそれを如実に語っています。要は強姦と見なされない内実が担保されれば、それでいいというわけです。


まあ、何が言いたいのか良く分からなくなってきたのでどうでもいいです。単にエロマンガの和姦描写が気に食わないというだけです。うん、つーか、あれ別にレイプ漫画におけるセックス描写と大して変わらんじゃないの。基本的に同意がとれる、相手の内面を担保できるというそこにしか差異を見出せません。だって、和姦漫画は究極的に閉じた主観性の世界が赤の他人としての相手抜きで成立するけど、レイプ漫画は形式上他人のモノ化にいたらなければならない、ていうホントにそれだけしか違いなんてないじゃない。まー、オナニーのためにあるんだから、それはそれで非常に良く出来ているとは思いますが、そこに現れてる認識はあんまり変わらんよね。

あ、別に規制しろとかそういう話ではないからね。念のため。それはそうとエロ漫画における中出しはなぜデフォルト*1なんでしょうか。あれでしょうか、ファナティックな決断主義とかそういうのなんでしょうか。でも、エロ漫画に、あんまり決意だの決定だのがあるようには思えません。AVだってそうですけど。まあ、なんというか、すごいナチュラルに中出しにいたっています。というより、一本道みたい。ふつー、マジギレされるような気がすんですけど。それとも、あれですか、世の男性諸氏にとってみると中出しが理想的な自然状態なんでしょうか。あるいは、それを事実としても強いるんでしょうか。まあ、双方の合意が取れてるなら問題はないと思いますけど。


とか、思いました。ロリペドエロ漫画を読みながら。



追記:そういや、類似例がありました。演歌です。演歌*2のキモさはわざわざオッサンが男に振られた女の歌を歌うという辺りでしょうか。それも女の方は未練たっぷりみたいな。きもい。正直、引く。あれとエロマンガ*3のキモさは似てるよ。

*1:唯一、という意味ではなく。

*2:の一部。って言わないといけないんだよね!

*3:まあ、一般のオタクコンテンツでもよくみかけるけど