中国四川大地震の影響についてのテキトーな憶測

madashan2008-05-16



さて、今回の事態、各国政府や大小の投資者たちは今頃胸をなでおろしているのか、はたまた不安にかられているのか。


彼らにしてみれば、ある意味、今度の出来事はエクスキューズになりうるし、融和路線=消極的働きかけの方向性に一定度の正当性を与えるとみなしうるだろうから、歓迎できる。けれども、この出来事が決定的な形で中国市場に損失を与え、しかも国内世論として多大なる損失と被害が云々され国内の諸問題と今回の不幸が結び付けられ*1中南海が渇望してやまない努力目標であるところの「中華人民共和国」の統一性が崩れてしまうのなら、これは畢竟チベット問題再燃を恐れるすべての資本主義者たち、国家官僚たちにとっては不幸を知らせる忌鐘といったところだろう。


いったい、どちらに転ぶだろうか。そして、連中はこの事態をどう利用するだろう。でも、実際のところ、あの国はここ十数年来――開放政策の影響が出始めたころから、農村部や地方における窮乏とその結果としての武装反乱やカルト信仰、匪賊の出現といった社会不安の増大を経験していて、このままでは何れにせよ体制が保たないのは自明にも思える。


http://www.h3.dion.ne.jp/~asiaway/special/sp-news/nwh01-6a.htm
http://www.ne.jp/asahi/anarchy/anarchy/data/zabalaza07.html
http://www.diplo.jp/articles05/0505-3.html
http://www.chosunonline.com/article/20080212000043


きっと、連中としては国家の戦略的見地からは、アフリカ大陸からアラビア半島を経由して中央アジアまでを含んだ中国の惑星規模での進出に対する一程度の牽制になることを望んでいるのだろう。あるいは投機家の観点からすれば、進出による、若しくはそれに付随した中国市場の拡大が望まれているのかもしれない。いずれにせよ完全な崩壊も更なる増大も望まぬのなら、どこで折り合いをつけるかだけが問題なのだろう。連中が折り合いをつける、もっとも望ましいソフトランディング地点はどこにあるのだろう。そして、それはどういった政治的態度を迫るだろうか。


米中露の中央アジアでのにらみ合いは今のところ、対中政策への直接的な動機にはなっていないように思える。ロシアは上海協力機構を通して対米戦略上の同盟として中国と歩調をあわせているし、アメリカ共和党政権は懸案のイラクにシリア、イランと中東問題で手一杯なのだろう。アメリカとしては東アジアの不安定要因に関して中国のイニシアチブを一程度認めた上で、植民地経営もしくは代理統治よろしく一帯の実効秩序を担保させ、以て中国政府への足かせになることを希望している。民主党政権になると、この動きは変更を余儀なくさせられるかもしれない。


民主党としては人権問題に関連して中国を非難することに意味を見出しているだろうし、中東でのゴタゴタからの煙幕として、北朝鮮を含んだアジア圏への外交戦略上のシフトチェンジを目論む可能性はなくはないだろう。そうするとそれなりの緊張はあるかもしれない。とはいえ、誰もこの地域での武力行使を望ましいとはみなさないだろう。朝鮮半島にいたずらに緊張を煽ったり、強硬策を採ることは一歩間違えれば、あるいは間違えずとも中国の動向次第でかなり厄介な事態を招来しかねない。中国と北朝鮮の関係次第ともいえるし、実際のところ人民解放軍はここ数年のところ対北国境ラインへの増派を繰り返し行ってきた*2 わけだから、中国と米韓がにらみ合うなんて第二次朝鮮戦争の再来があり得るとは思えないけれども、とはいえ、36度線37度線*3アメリカ側が超えるような事態があれば中国としては鴨緑江を渡らざるをえないだろうから、ここはむしろ中国に率先して渡河してもらって平壌を平定してもらった方がアメリカにとっては得なんじゃないのとか思うけれども、後々のことを考えれば結局アメリカはそれを黙認できないように思う。これらの何れが成り立っても中国は影響を深甚に被ることになるだろうし、下手をすれば東北地方の朝鮮族を含んだ少数民族の中に民族自立の気運が高まることになるだろう。はてさて、この事態に日本政府はどう立ち回るのかな。


まー、ワタクシ様は金も地位もない貧民なので中国がどう出るかとかどうでもいいっちゃ、どうでもいいんですが、何となくツラツラ考え付いたので。あ、ついでに言っておくと別に中国ウォッチャーでもないし、国際政治マニアでもないので上記の展望とかはかなりいい加減な憶測です。間違っても、レポートのネタにしたりしないように。笑われますよ。

*1:かの地では、今年は不幸が続く非常に「悪い」年であるとの迷信が流布しているらしい。国内事情があまり見えてこないことも、中南海側の動向がしばしば不可解なものと映る理由かもしれない。

*2:派兵された部隊はその後、どうしてるのだろうね。04年度の緊張の高まった時期に数万人規模の兵力集中を行ってたけど、あれらの人員はその後、どうしたのかな。多分、長春などの第18軍の拠点に戻されたとは思うけど。

*3:はずかしー