機関紙「自由意思」

madashan2008-05-08



id:font-daさん曰くアナキストは「クィア」らしいです。そして、デモや集会は出会い系なのです*1。そんなわけで出会い系を利用している変態*2さんは黒旗の下に集まれ!


それはそうと、近頃は労働の苦しみに耐える毎日なので、今日はテキトーに面白ネタでお茶を濁すよ。

日夜、反革命分子の粛清に勤しむ日和見主義的はてな党官僚の皆様はよくご存じのように、世の中にはカルト集団と名指しされる人たちがいます。左翼にも右翼にもカルトと言われる人たちの党派が存在します。尤も日本の右翼はすべてカルトのような気もしますが。左翼でいうと皆さまの頭に直ぐ浮かぶのは革マルとかでしょうか。別名クロカン教ともいいます。しかし、世の中にはギョーカイの人しか知らない真のカルトというものがあります。あるいは見かけても誰も興味を抱かないので存在を放置されている人たちと言い換えても結構です。皆さんにも、一つ二つ心あたりがあるかと存じます。(今、マル青同とか頭に浮かんだ貴方は修行が足りません。京●政●研とか言いだす貴方は出身大学がばれますよ*3。)


これらのどマイナーカルト集団はそのマイナーさ故なのか意味の分からない方向に全力でひた走ります。けれども、だからといって理解困難というほどではありません。特に未だに大学を根城にしているような党派は、余人にはさっぱり興味のわかない理論的基礎付けということにやたら熱心ですので、理屈自体は存在します。そういうわけで、存在理由を根底から否定するような方向にはさすがに…いや、行ってるな。

まあ、それはそれとして、共産主義セクトのカルト化・電波化は意外と学生諸氏にも知られており、特にサークル棟を実効支配しているのがそうした電波セクトだったりするといやが応にも目に入ってきますので、一定の知識と警戒心を持つことができ、ある意味合理化されています。


今日、皆様にご紹介するのはそのような良く知られた共産主義カルトではありません。ワタクシ様もこないだ見かけるまで失念していたのですけれども、つい先だって新宿の模索舎に立ち寄りましたところ、アナキズムコーナーの一角に「自由意志」なる機関紙が置かれておりまして、その紙名と右上の「アナキズム連盟」という文字を見た瞬間にワタクシ様の脳裏に閃光の如く過去の記憶が蘇ってまいりました。


あれは、ワタクシ様が革命的な意思の下に高校生活をボイコットしていた頃のことでございましたでしょうか。ある日、教条主義的独善家の兄がワタクシ様の部屋を訪ねてまいりました。日頃より折り合いの悪い兄は、その時分、既に時代遅れのトロツキストになることを心に決め、家に帰らぬ日々が続いておりましたが、その日ふらりと現れたかと思うと、土産と称して奇妙な半紙をワタクシ様に寄こしたのでした。


半紙にはそれはそれは粗悪な重農主義的保護政策を訴える記事が載っており、政治的見識など少しも持たぬ高校生にも分かるくらいに杜撰でいい加減な理屈で中国からの安い農産物に対して政府は自国農業を保護せよと声高に主張されておりました。新聞の紙名は「自由意志」と書かれており、その精神主義的・主意主義的語彙も微妙にうすら寒いものがありましたが、何より笑いましたのはその組織が自らアナキズムを僭称しているところでした。残念ながら記憶があいまいな上に、そのような詰まらぬ紙切れにはとんと興味が湧かず、また兄の嘲笑的な揶揄も気に食わぬものでしたから、当該の機関紙はすぐにごみ箱に捨ててしまい、今となっては思い出すことも相成りませんで、まっこと遺憾とするところ大なりでありますけれども、とにもかくにも当時の無知蒙昧なワタクシ様にすら針が右側に振りきれているようにしか思えなんだことはよく覚えております。とはいえ、その頃のワタクシ様としては最大限の思いやりと寛大な大洋的感情の下、彼らには彼らなりの論理があり、無政府主義はその本性からしてナショナルなものとも親和性を持ちうる雑多な思想信条なのだらう、くらいの気持ちで軽く流しておりました。


さて、先ごろ、久しく新宿駅東口に所用で降り立ちまして、辺りの景観にすっかり懐かしくなり、足が自然と模索舎へと向かいましたところ、再会相成ったというわけでございます。斯様な機関紙が未だ出続けていることに軽く驚きましたけれども、そこはそれ、久方ぶりの電波を楽しまんと紙面を飾る見出しを読みましたところ、どうやら相変わらずの中共批判を展開しておりまして、それ自体はアナとしては珍しくもなんともないのですけれども*4、問題は揶揄の語彙にあります。「独裁弾圧国家中共の走狗」といったような感じの、単語をただ並べただけの何の工夫もない代物――それも暴走族よろしく「毒殺」とか「虫狂」といったような当て字をして喜んでいる始末。文章のリズムもレトリックも明らかに新左翼系とは異なりますし、何よりその乏しい語彙力と単語のずさんな羅列の仕方はほぼ街宣右翼のノボリと同じ感性に支えられているように思われました。そして、肝心の中身はといえば、これまた殆ど右翼雑誌からの引き写しかと思われるような理屈で、終いにはあなた、「日本の自主外交」を云々し「核武装」を主張しておりましたですよ。


はて、アタクシはアナキズムコーナーに居たはずなんですけれども、何処をどう間違えて極右コーナーに迷い込んでしまったで御座いましょうね。ええ、そりゃあ、アナキズムは元来がザルのような思想ですもんですから、色んな方がおりましょう。非戦論者から暴力革命論者、組合主義から個人主義、集産主義から市場主義、いろいろありまさあね。ええ、ですけれどもね、反国家と反権威はさすがに共通でして、いくらアナルコ・キャピタリズムみたいな頭の悪いボンクラ資本主義者が隊伍に紛れ込んだとはいいましてもねえ…アナキズムを名乗る輩が何故に国家運営について云々し、おまけに最高度の軍事的シンボルまで歓迎いたしますか。はあ、中共の支配に立ち向かわねばならないのですか。ええ。さいですか。ははあ、え、なんです?政権内部には腐敗した左翼分子が紛れているから中国の属国と化していると*5。へえ、それはそれは。


…君らはどうしたら自分の立場を合理化できるのん?

あ、天皇制にだけは絶対反対の立場を堅持しているようです。あと反共。愉快ですね!なんか広島のことばっか書いているからそっちの方に本拠地があるみたいよ。


■追記   

ネット検索したら遊撃社の日記に登場してた。

ひさしぶりにアナキスト連盟の機関紙『自由意志』が出ていたので購入。一面の見出しが 北朝鮮金王朝打倒! 在日朝鮮総連解体! 日本天皇制廃絶! 赤色オウム粉砕! というもので、これだけみると右翼の機関紙みたいだよね。アナキストは自らの基準で運動を進める。時と所により右翼とも左翼とも共闘できるし、しなければならない。なんて書いています。アナキストって面白いなあ。

http://www.sepia.dti.ne.jp/yuugeki-internet/zakki034.htm

あと、こんなのも

…やっぱ、ただの極右じゃね?まあ、ヤクザ屋さんでも愛国屋さんでもなく、新左翼セクトくずれの転向右翼あたりじゃないかと勝手に思ってます。偏見ですが。でも、残念なことに俺の出会った全共闘世代の爺婆辺りでボル志向の人って意外と国家主義に親和性高いというか、天皇制にだけは固執するけど、それに対抗して国民国家称揚するのは躊躇いがない人が多いのね。あと、現実主義標榜してるから<権力>とか<軍事力>とかが大好き。だから、転向すると露骨な反共愛国主義者になるのもお約束。まあ、絶対数が少ないから何の証明にもならないけどな。*6

あるいは、そうねえ――20世紀初めのイタリアで、アナキストとかサンディカリストファシストに転向したみたいなもんでしょうか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/madashan/20080504/1209901889#c

*2:クィアの意味とか知りませんので、直截にこの名で呼びます。怒られても分かりません

*3:新●会とかア●研とか言い出すともっと特定されます。

*4:ボル批判はアナの持ち芸です。むしろ、馬鹿の一つ覚えです。

*5:ここまでは書いてなかったかもしれないけど、概ねそんなかんじ。

*6:或いは、これは全共闘云々以前にボルシェヴィキ大好きっ子の傾向なのかしらん。偏見なのはわかってるけど。